批判的に物事を見る難しさと図解

クリティカル・シンキングは批判的思考と訳される。

批判的思考(ひはんてきしこう、英: Critical thinking)は、特に欧米諸国で主流となっている物事や情報を批判的に解釈する思考パターンのこと。対象物を見聞きしたままに受け取るのではなく、客観的なおかつ分析的に理解される必要がある
批判的思考 – Wikipediaより

「批判的」という言葉にネガティブな意味が含まれすぎている(少なくとも現代では)ので、この批判的思考という言い方は好きではない。
だが重要だ。
批判的に物事を見るというのは、あら探ししながら見るってことじゃなくて、客観的に物事と本質を見ること、「なぜそうなのか」と根拠を考えたり、多側面から分析を試みたり、構造的に整理したりすることだ。
そこを間違ってしまうと、論点があらぬ方向へ向かうし、思考の発展性もなくなるだろう。

クリティカル・シンキングを学んだ数人に聞いたところでは、プライベートで活用しすぎると失敗するそうだ。
理屈っぽく、疑り深い、性格が悪い人のように思われてしまうらしい。特に恋人同士や夫婦間では使わないほうが良いとみな口を揃えた。
そうなのだろうか。
喧嘩しても感情をぶつけ合うよりは、自分が感情的になってしまった理由や対策を力を合わせて考えたほうが良いではないか。たわいない喧嘩においては、たいていはどちらも悪くない。本質を探る中で共感が生まれるのではないだろうか。

きっと、喧嘩やら議論で勝利し、相手に対して優位にたつための武器としてクリティカル・シンキングを使うと、よろしくないのだろう。
クリティカル・シンキングで対象にすべきは、人ではなく、むしろ思考、物事、事象なのだが、切り離すのはなかなかに難しい。
私もよく批判されるとき(自分で批判するときも)、私の思考ではなく、私自身がジャッジされている気分になってしまうし、自分が何かに意見を言うときは「人を批判しているわけではない」ということを言外に伝えたいのだけど、そのために曖昧でわかりにくい発言になってしまったりする。
飲み会の席でも「私はそうは思わないです。こんな場合はどうですか」とか言って議論を始めてしまったりするわけですが(すみません)、特にアルコールが入っていると、筋道通った話をするのはとても難しい。

そういった難しさを解消する方法のひとつは、図にすることだと思う。

【図解のメリット】

  • 図にすると、問題を俯瞰しやすい。
  • 論点が書かれていれば、ズレても立ち戻れる。
  • 手を動かして何かを書くと、標的は人ではなく図そのもの、問題そのものになる。
  • 口頭で言われたことと比べて理解しやすい。
  • 手を動かすと思考が活性化する。

 
それから、図で思考を整理するために使えるフレームワークもたくさんあるだろうから、引き出しに入れておきたい。

 
【思考整理で使えそうなフレームワーク(的なもの)】

  • 演繹法帰納法・ピラミッド図
    • 論理構造を整理する。飛躍がないか、前提は正しいか、モレがないか。
  • ポジショニングマップ
    • 自分や相手の立ち位置が明確になる。
  • プロセス図(あるいはバリュー・チェーン)・時系列図
    • プロセスにおいて問題がどこにあるのかがわかる。
  • 5W1H
    • 「Who、What、When、Where、Why、How」を文章にすることで思考を整理。相手にも伝わりやすい。
  • マインドマップ
    • 思考の整理や発展ができる。書く楽しさがある。
  • PEST分析
    • マクロな観点から考えたいときに。政治的(Political)、経済的(Economic)、社会的(Social)、技術的(Tchnological)な観点から考える。

 
こういったフレームを使わなくても、単純に図を書くだけでも良いのだけど、活用するととっかかりができて良い。シチュエーションに合わせて使えるフレームは、特に仕事関連のものだと山ほどあるので、「こんなときにコレ!」と取り出せるといいなと思う。

思考を深めることができる何かも、作りたいもののひとつです。