UIデザイナー云々

UIデザイナー不要説とそのまわりに展開している話題について、UIデザイナーの私も何か書いておこうと思うが何を書こう。

私はアプリやWebサービスのUIのデザインをやっているUIデザイナーで、最近リリースしたiPhoneアプリ「FitPort」では、企画、UI設計、デザイン、Storyboard、動画作成、ユーザサポートなどなどをしている。
自社案件も、受託案件もやります。

まず、元記事では「UIデザインが重要視されていない」ということが前提とされているが、そう感じることは、最近ではほとんど無い。むしろニーズが高まっていると感じていたので、不要説の記事を読んで驚いた。
今世の中としてはそんな感じなのだろうか。

UIデザイナーは、単に美しくするだけでなく、使いやすくしたり、見やすく、読みやすくしたり、使うのをちょっと楽しく気持ちよくしたりということをする。
結果として、販売数やアクティブ数、ファン、リピーターの増加、サポートコストや運用費の削減にも効果があったりなど、UIデザインは、幅広い場面でビジネスに貢献できる。受託のお仕事をしていると「こんなに売り上げがあがりました。ありがとう」とわざわざお礼を言ってもらえることだってある。

UIはひとりで作っているわけでなく、チームで議論したり検証したりドッグフーディングしたりしながら育てているわけなので、UIデザイナーはこんなにすごいよって話ではなくて、UIがすごい、みんなすごいって話であります。

なるほど。
UIに価値がないんじゃないかという話と、UIデザイナーが不要なのではないかという話、2つの論点があるのかもしれない。

UIに価値がないとしたら、UIデザイナもそりゃ不要だろうと思うので、まずはUIに価値があるのかどうかについて書いてみるか。
どうしよう。あらためて言うまでもない感が漂っている気がするけどまあいいか。

もしそのマーケットが生まれたばかりだったら、UIどうのよりはコンテンツが存在することのほうが大事だ。存在するだけで売れる。
マーケットが成長して選択肢が増えると、消費者はより良いもの、より自分に合ったものを選択したくなる。多様性、パーソナライズが大切になったり、価格で差別化したり、所有している優越感みたいな高度な欲求を満たしたりする必要が出てくる。
そんな中では、顧客とプロダクトの接点であるUIが、価値がないなどと言えるわけがない。

つまり、UIに価値がないと思っている人がいたとしたら、そのビジネスの属するマーケットがまだ導入期ということなのかもしれない。もし、もうその時期は過ぎているのにまだUIを軽視しているのなら、そのビジネスは先行き危ういかもしれない。あるいはとても強烈な差別化点持ってたらUI軽視のままでも行けるのかもしれない。

さて、UIは大切であるという前提にたって、UIデザイナーの要不要を考えてみよう。
UIは、デザイナーひとりで作るものではない。ゆえに、UIが大切ならば、UIデザイナーも大切だろうという簡単な話で終わることはできない。

もし、「UIは重要だけど、UIデザイナーは不要」と思われてるとしたら、何か問題があるはずだ。

UIデザイナーが何をする人なのかわからない?
UIデザイナーの扱いがわからず力を発揮させず終了になった?
ほかにUIわかる人がいるし、今時いろいろ便利素材があるのでデザイナーがいなくても素晴らしいビジュアルを作れる?

UIを素敵に作れる人が他にいるならそれはそれでOKだと思う。UIデザインという職域をカバーできているってことなので。

問題としては、総じて、UIデザイナーが何者なのかが、いまいち不明なのだろうか。
私がUIデザイナーとして一般的なのかはわからないけども、UIデザイナーとして心がけていることを書いてみよう。理解が深まるように。

  • 使う人の行動やその裏の心理を一番よく考え、共感できる人でありたいと思っている
  • UIの奥にあるシステムをできるだけ理解して作りたい(そのほうが使いやすかったり、パフォーマンスが良かったり、誰かの工数の無駄が省けたり、後々拡張しやすかったり、メリット大きい)
  • 使ってみないとわからないことが多いという事実を認めて、自分の想像力を過信しない(できるだけ小さく作ったり、プロトタイプから始める)
  • 受託案件の場合はそのビジネスに貢献する視点にも立つのは当然(でももし、ビジネス視点のとても強い人がいたら役割バランス的にユーザ視点に徹することもある)
  • 自社案件の場合は今までやったことがないことを試したり、受託では予算の都合で削られるようなところに凝ってみたりして楽しむ
  • 同じ業種であっても人の苦労を理解するのは難しいので、人の作業や努力は想像の2倍ぐらいの量として考える

UIデザイナとか関係ないこともまじったけども、そういうことなどのために、いろいろ勉強もしてる。
デザイン関連以外で言うと、人間や行動心理に関する書籍をたくさん読んだり、グロービスの3ヶ月コースに通ってマーケティング・経営戦略を学んだり、マネジメントの勉強したり、プログラムの勉強をしたり、英語の勉強したり、勉強の勉強をしたり、話題のゲームを試してみたり、いろいろ実践してみたり。
書いてみると、どうやら特別に何かやっているのではなくただ自分の興味があることをその都度やっているだけだった。もっとマクロ視点のほうも学ぶべきだ。たとえば政治、経済、環境とか。いつか興味持てる日が来るに違いない。と思いたい。
UIデザイナーは、だいたい何をやっても良い学びとすることができるのでお得だ。

どうまとめて良いかわからなくなってきたがまとめ。

使いやすく、きれいなUIのアプリやサービスが、すでに市場にたくさんあるような昨今なので、個人的には、もうUIデザイナー無しでやっていくにはけっこう厳しいフェーズになっていると感じている。
UIデザイナーはそう名乗っているからにはUIを専門分野としてる人々なので、ぜひ、うまいことUIデザイナーを使ってほしい。そして使いやすい、使いたくなる、素敵なアプリやサービスがどんどんでてきてくれると嬉しい。