「だれもが使えるWebサイト公開討論会」中継を見ながら思ったアレコレ

さきほど、「だれもが使えるWebサイト公開討論会」をUstreamの中継で見ていた。本当は聞きに行く予定だったが、風邪気味だったので自宅から。
アクセシビリティがテーマだ。
見終わってから他の仕事をしてたのだけど、どうも気になるので、思ったことをつれづれに書いてみた……ら、予想外に長くなってしまった。

アクセシビリティと予算

アクセシビリティには予算が必要で、しかし予算が取りにくいといった話があった。
「より使いやすく」するには確かに予算が必要だと思う。
しかし、最低限のアクセシビリティを確保するのは、むしろ当然のことで、あらためて予算とかいわれると不思議な感じがする。
ちゃんとhtmlを書いていれば達成できるのではないだろうか。
Flashやらのリッチ系コンテンツのアクセシビリティ確保が大変なのはわかる。そこには予算が必要だ。予算がないなら、目的達成の経路上に避けられないFlashは入れないことを選択すればいい。
予算がとれないのにFlashにするのなら、「見た目をおしゃれにするためだけに階段を多用したカフェ」とかと同じで、入れない人がいるということを覚悟の上で。それは企業の担当者さんはわからないかもしれないので、説明して判断してもらうことが必要だ。

アクセシビリティとは何か

よく聞き取れなかったが、アクセシビリティはおもてなしであるというような内容があった。わたしは「おもてなし」はどちらかといえばユーザエクスペリエンスとかユーザビリティの範囲と思っている。
「おもてなし」は、最低限の必要なこと(アクセシビリティ)が済んだ、その後のことだと思う。
バリアフリーという言葉も出てた。アクセシビリティには、むしろバリアフリーのほうが近い。近いというか、含まれる。バリアフリーも、対象は高齢者や障害者だけではなく、妊婦さんや子ども、けがしてる人、体調の悪い人、疲れている人……とにかく万人に向けて、バリアをなくそうというものだからだ。
企業の担当者さんへアクセシビリティの説明をする際に、バリアフリーという単語を使うのはわかりやすくて良さそうだ。

どこをどう解決するか

高齢者は「我慢して」Webサイトを使っている、と言う言葉があった。
わたしもよく「我慢して」使っている。インターネット人間のわたしから見ても使いにくいWebサイトがたくさんあるのだから、詳しくない人や慣れていない人、何か自由がきかないところがある人なら、なおさらそうだろうと思う。
そして「我慢」の中には、単にWebサイトの話だけでなく、OSやブラウザ、モニタ、キーボード、マウス、机や椅子も含まれるかもしれない。
全プロセスのうち何が、Webサイトを使うハードルをあげているのか?
全部なら、ハードとソフトとコンテンツと、合同で解決策を考えても面白そうだ。

Webサイトの話だけに限定しても、たとえば「Webサイト変換サービス」とかあったらどうだろう。
いろんなWebサイトを同じフォーマットに変換できるサービス(たとえばRSSリーダーみたいに)。
同じ形ならば、操作に慣れるのが早い。
セマンティックウェブが、そういったことを可能にしてくれるだろうか。あるいはテキスト解析のような何か。

Webサイトは誰もが慣れ親しんでいる「テレビ」と似た画面なのに、使う人が能動的に動かないとならない。そこにハードルがあるならば、テレビのように「チャンネルを変えるだけで」いろんなサイトが見れるというのも面白そうだ。
あるいは「ATMのような」操作でWebサイトを選べてもいい。
そういうふうに段階的に慣れて面白さを知った後で、もっと広い世界に飛び込むのもよいだろう。

我々に何ができるのか

Webデザインひとつですべての問題解決をはかるのは無理なので、いろんな側面からのアプローチがあるべきだと思う。
そういったソリューションを考えるのは楽しい。
わたしが知らないだけで、もう既に存在するかもしれない。

とはいえ人任せにしておくものではない。
我々制作者は「アクセシビリティ確保は基本」として考えWebを作る。
「使える」のはもちろん、より「使いやすく」するため試行錯誤する。
情報収集し、観察し、想像力を働かせ、やってみる。
日々がんばっています。
世界中のWebサイトは日々改善されているはず。

この討論会は、「だれもが使えるウェブコンクール」のプロモーションの一環としてあったのだと思うが、企画も面白いし、中継があって嬉しかった。
ありがとうございました。どのようなサイトが選ばれるのか楽しみです。